俺は緊張なのか、なんなのか、わからないが震える手をぎゅっと握りしめた。


そして、ゆっくりとその本屋へと足を踏み入れる。


目の前には。
ずっと、ずっと、復讐したいと思っていたあの、木下あかりがいた。

ドクンドクンと波打つ心臓。
静かに俺はレジに足を向けた。


「ありがとうございました」


無愛想な木下あかりの声。
接客なのに、全く以て笑顔が無い。


無言でレジに釣銭を入れる木下あかりに声をかけた。



「木下さんだよね?」

きょとんとするその人。

当たり前だ。


心の中で、嘲笑った。
何の為にダイエットしたと思ってるんだ。




「俺、戸川夏樹」


そうやって簡潔に自己紹介するが、木下あかりはまだピンと来てないみたいだった。


それが俺をイラつかせる。


「中学校一緒だったじゃん」


そこまで言ってやっとわかったのか、彼女は目をまん丸にすると

「なつお?」

そう言った。