あたしの証~番外編~

「もう、卒業だなんて寂しいなあ」


「…ああ、そうだな」



その日、俺は珍しくどこに寄るでもなく真っ直ぐ家に帰宅した。


「ただいま」


一言、そう言って俺は自分の部屋へ入ろうとする。
それを母親が止めた。


「…夏樹、こっち来なさい」


「…何?」


俺がそう言うも、母親は何も言わず俺をリビングに入るよう促した。
中に入って、俺は少し驚く。

いつもいない、父親がいたからだ。


「夏樹か、座れ」


俺は黙ったまま、それに従う。
こうして向き合ったのは、どれくらい振りだろう。

父親の隣に母親が座る

…何だ?改まって。

「単刀直入に言う。
お前、刺青を入れたらしいな」


「…ああ」

そんなことか。
緊張してた体が一気に緩む。


「入れたんだな!!!?」


「入れたよ」

そんな怒ること?
たかが、刺青。
あんた達に何か被害でもあるのか?


だけど、父親は俺の頬を一発殴った。