「俺のとこで働くならな」


「はっ?!」



働く?俺が?



「彫師になりてーなら歓迎だっ」



…………唖然と俺はきょうさんを見つめた。


…いや、働きたいなんて一言も…。



何で勘違いさせたのかがわからない。



「あっ、夏樹、いいじゃん!彫師!」


「ええ?!」


まさか哲まで賛同するとは…。


「だって、夏樹なりたいもんとかないんでしょ?」



そう言う哲。

まあ、確かに将来なりたいもんとか決まってないけどさ。


だけど、彫師だなんて全く考えてなかったんですが。



そう思っていたのに

「何、なりたいの?ならきょうの仕事、一度見てみたらいいよ」


だなんて貴さんまで言う始末だ。

もう手に負えない。



何故か、俺は後日きょうさんの仕事を見ることになってしまった。

半ば無理矢理な気が…しないでもない。


三人に言われたら頷くしかないだろうが。


まあ…でも、確かにきょうさんのタトゥーは綺麗だったから見たくないと言えば嘘になるだろう。


それなりに興味はあった。