あたしの証~番外編~

貴さんは愛想よく笑うと、あいよと返事をした。



「ほら、行くぞ」


まだ落ち込む哲を引っ張って、俺が扉を開けようとした時。


先にその扉が開いた。



「あ」


開けた先にいた男が、そう口にした。



これが俺ときょうさんの初めての出会い。




その男は無精髭を生やしていて、髪の毛を束ねている。




「あ、きょう。
なんだ、早えーな」


きょうと呼ばれた男に貴さんが気付き声をかける。

それにきょうは俺から視線を貴さんにうつすと、返事をする。



「ああ、さりなから逃げて来た」


「ぶっ、さりなに言い付けるぞ」


「まじ勘弁して…」



二人で進む会話。

俺は邪魔しちゃ悪いと思い、ぺこりとしながら外に出ようとした。


「あ、君」



それをその男が止めた。




「え?」



立ち止まる俺を、そのきょうって男がまじまじと見る。



な、何?


怖じ気づきながら、俺はそいつを見る。




「……………若くね?」



きょうはぼそっと、言った。