それから、少しだけ沈黙すると哲が腕を組みながら俺に言った。
「夏樹って、損してるよなあ」
「…はあ?」
いきなりこの人は何を言いだすんだ。
「折角、そんなルックス持ち合わせてんのに活かそうとしないのがさ」
「…いや、ホストやれと?」
「……うん!」
「…………はあああ」
「あっ、また溜め息っ!」
「いやな、俺は哲のが損してると思うぞ?」
「え?何で?」
「お前ならモデルとかなれるだろーし」
「モデル?俺が?」
「うん」
「あっはー、まじないよー」
「でも、アパレル店長とかならなれんだろ」
「…アパレル?」
「そーそー」
「…………」
急に真剣な顔になった哲は腕を組んだまま、難しい顔をしている。
「…どした?」
そんな哲に俺が問いかけると、哲は難しい顔をしたまま。
「…いい!」
と言った。
全く以て、意味不明。


