まだクスクス笑う哲と、肩を並べて歩いた。


「…いつまで笑ってんだよ」


「だって、夏樹、まじ、ふはっ」


「…………はあ」


「あっ、溜め息ついたなあ?
ちゅーしてやるぞ」


そう言いながら俺の肩に腕を回して、哲が顔を近付けるから俺は平手打ちしてやった。



「び、ビンタって…いひゃい」


「哲が悪い!」


「…あーい」



大人しくなった哲にまた息をついて、俺は前を見た。



「夏樹さー卒業したらどーする?」


「いきなりなんだよ」


「どーすんの?」


「…何も考えてないな」


「じゃあさー俺とホストやろーよー」


「…………それだけはまじないわ!」


「ええ?!だって、夏樹レベルならナンバーすぐな感じするし」


「いや、俺、そうゆうの本当向いてないし。
騙すのはこれだけでいいんだよ」


「………」






これだけ。

その意味がわかるから哲はくっと、言葉を飲み込んだ。