あたしの証~番外編~

「あかりちゃん、ちょうどよかった!今クッキー焼いたとこだったの!」


玄関を開けて、りなさんの開口一番がこれ。


「えっ、クッキー?!」



そう言われてみれば、部屋の中から甘い香りがあたしを誘惑している。




あたしはいつものように椅子に座って、りなさんが焼いてくれた出来立てクッキーを一枚口に放り込んだ。



綺麗な焼き色した丸いクッキーは、あたしの口の中でサクサクと軽快な音をたてて溶けていった。



「おいしーい!」


「本当?よかった。
なつきちゃん、好きかしら?たくさん焼いたからお土産にどう?」


「!!」



なつき、と聞いて、あたしはまたさっきのことを思い出してぎゅっと口を噤んだ。

…りなさんならきっと、あたしの今の気持ちわかってくれるはず。


そう思ったあたしはりなさんに尋ねることにした。




「…りなさん」


「なあに?」


「ゆうや、モテるけど心配にならないの?」



突拍子もないあたしの質問に、りなさんは目をパチパチさせた。