いつだって、哲は俺に復讐なんかやめろよって。
そう、言ってきた。
俺はそれが疎ましかった。
人気者の哲が羨ましくて。
ただの僻みだったのにな。
それに気付くのはもう少し後の話。
俺はしほと並んで、カラオケに入った。
この時間、制服は目立ってしょうがないから。
部屋に入ってから適当にフードとドリンクを頼む。
足をソファに投げ出す俺とは打って変わって、規則正しくソファに座るしほ。
「……しほ」
「なななな、に」
どもりすぎだけど…。
……緊張してる、のか?
「…しほ」
「……………」
「こっちおいで?」
しほが答えるより先に俺がしほの体を引き寄せた。


