「…ほっとけよ」
「でもさ、夏樹、なんか、その話する時いつも辛そうなんだよ」
「…………」
「なあ、本当はその子のこと好きなんだろ?」
「好きじゃねえよ!」
「嘘つけよ!」
「………るせぇ」
「え?」
「うるせぇよっっ!!」
俺はその後の哲の言葉も聞かず、ただ走った。
……うるせぇ、うるせぇ!
哲にはわからない。
昔から周りに人がいた哲にはわからない。
ずっと蔑み、罵られていた俺の気持ちなんてわからない。
だって。
俺は。
木下あかりに復讐するために死に物狂いでダイエットしたんだ。
裏切る、その時のためだけに。
木下あかりを絶望の淵に落として。
嘲笑ってやるんだ。
…………それだけ。


