あの日はジメジメとした蒸し暑い日だった。



私の両親は顔立ちがよく、性格も温和で、娘の私からみても、自慢の親だった。



『お父さん今日会社休みなの!?』



なんてことのない微笑ましい家族の光景。今思えば、あの時が1番幸せだった。



「あぁ、だから今日はどこかへ出かけよう。どこがいいかい?春。」



目尻に少しシワを浮かせてお父さんが微笑む。



『じゃあね、遊園地行きたい!!』



「あら、いいわね。じゃあお弁当作らなきゃ。」



私たちが向かった遊園地は海の近くにある大きな遊園地だった。



『次はあれ!!あれ乗る!』



私は時間も忘れて夢中で遊んだ。



帰る時間になって、お父さんに引きずられながら帰った記憶がある。