ドアを開けた途端
ザワザワしだした。

ここで大声出すわけにもいかないし…

あんな女が太い声を出して
注意をするなんて。
なんか聞いたことある声だった。

ある一人が
「黒薔薇じゃねーの。」

なんて言うから意識しちまうだろ。

昔から黒薔薇は
俺の憧れで
俺の初恋の人だったんだよ…


クソッ。
もう会えなくなっちまうのか…


入学式も無事に終わり、
喋りながらで帰ってると

信号待ちのドデカイ車が並んだ。

「見たことある顔…
ってオイッ!」

黒薔薇じゃねーか。


黒薔薇の乗った車は
芸能事務所っぽいとこに入っていった。

クソッ。

なんでチャンス逃すんだよ…

このヤロウッ!

その日は
悔しい思いと
弟が入学して
嬉しい思いが入り混じって
複雑だった。