わたしは、普通の学園生活が欲しい

教室につくと早速真希が言ってきた。

「朱里っ! レポートレポート!」

「はいはい、そんな催促しなくても見せてあげるって」

荷物を机に置いてからレポートを引っ張り出す。

その間も真希は待ちきれないようだけど。

「はいよ」

「ありがとう朱里! 愛してるっ!」

「はいはい、ありがとうね」

ほんとに調子がいいんだから。

真希が一心不乱にわたしのレポートを写している間は暇。

だから他のクラスメイトたちと話す。

もしかしてわたしの友達は真希しかいないんじゃ、とか思ってた?

そんなことはないんだよ。

女子の友達もそれなりにいるし、男子とも普通に話せるくらいの仲ではある。

明るかったり、魔法の実技がうまかったりで目立つ子とはそこまでじゃないけどね。

あんまり仲良くなってわたしまで目立ったらやだし。

「朱里ー! ありがとう、助かった!」

どうやら写すのが終わったみたい。

「どういたしまして。でもたまには自分でもやった方がいいよ、絶対に」

「次はやるって」

「ほんとかねぇ」

その台詞は何回目?

きっと次も絵だけなんでしょうね。

わたしは困らないから別にいいけど、何かの機会に先生に言われると思うなあ。


真希の心配をしていたら担任が教室にやって来た。

「おはようございます」

背が低くて、色が白い国語科の先生。

絵が……、うん独特なセンスしてて結構人気。

「課題のレポートを回収します。後ろから回してください」

わたしは一番前の席だから、後ろを向いて隣の一番後ろの席の真希を見る。

自信満々って感じにレポートを前の男の子に渡してる。

いい笑顔してるけど、そのレポートはわたしのの丸写しってことちゃんと覚えてんのかな?

「はい、海野さん」

ああ、いけないいけない。

真希を気にしすぎててわたしの列を見てなかった。

後ろの男の子からレポートを受け取って先生に渡す。

隣の列も一番前の席まで回ってきたみたい。

先生が受け取ったレポートをパラパラって見て、ため息をついた。

一瞬、わたしと目があった気がするんだけど。

その後ちらっと朗らかに笑ってる真希を見てた。

やっぱり、真希の丸写しのことじゃない?

そのうち呼び出されても、わたしは知らないぞー。

要領よく適度に書きかえることもしなかった真希が悪い。

こういうのをばか正直、って言っていいのかはわからないけど。

素直すぎるよね。