さて、まずは魔力の制御の訓練。
わたしの周りに魔力を遮る結界を張って、押さえ込んでた魔力を一旦解放する。
結界張らないと、こんな膨大な魔力じゃメイドさんたちはおろか母や父まで気絶しちゃうからね。
それから屋敷の庭に住んでいる動物たちも。
解放した魔力は結界の壁に沿わせて動かしたり、細長い布のような形に押し込めたりしてリボンのようにヒラヒラさせてみたり。
一通り制御の訓練が終わったら、またわたしの体の中に解放した魔力と新たに作り出される魔力を押し込める。
これを続けるとね、魔力量が上がってくんだよ。
容量が増えるっていうよりは収納術が磨かれていく、みたいな。
沢山蓄えられるようになる。
そして次は遂に魔法の訓練。
わたしの使える属性には特に制限がない。
ただ得意不得意はある。
氷と火は結構得意。
光はちょっと苦手かな。
でも回復魔法──治癒魔法ともいうけど──は光が一番充実してるから沢山練習してる。
いざというときに苦手だから、とか言ってられないしね。
魔法の訓練は各属性の上級魔法を同時に発動、維持、制御、解除って順でやる。
詠唱はなしで。
緊急事態に備えてね。
世の中凄い人が沢山いるし、咄嗟に複数使えるくらいでなきゃ、万全とは言えないから。
ぱっと出して、
そのまま魔力の揺らぎがないようにキープ。
そしたらそれぞれなるべくランダムになるように動かしてみる。
勿論魔力の揺らぎは限りなくゼロに近づけたいんだけど、これは今のわたしなんかではまだまだ難しい。
ランダムもまだまだ規則性が垣間見える。
最後にぱっと消して、まだまだだなってため息をつく。
昔よりは断然よくなったけど、まだまだ甘い。
上級から最上級にするとキープするだけでも魔力に揺らぎが出てくるし、さらに神級でやれば揺らぎ過ぎて初めての初級ボールかって感じ。
まだまだ。
本当にまだまだだ。
これも終わったら漸く学園に行く。
屋敷に入って最初に見かけた執事さんに行ってきますって声をかける。
黙っていくのも気が引けるからね。
初めは驚かれたけど、入学する頃には高2娘のわたしが馴染んでたから、すぐに受け入れられた。
いってらっしゃいませ。って送り出されて転移する。
寮のわたしの部屋に、ね。