わたしは、普通の学園生活が欲しい

今度は素敵な平穏スクールライフ、というか1日の流れを見せてあげる。

わたしの友達も紹介するから。


まず、一番始めはうちのメイドさんがわたしを起こしにやってくる。

「朱里お嬢様、朝ですよ。今日も学園でしょう?」

不思議とこれだけでぱっと目が覚める。

眠くはないけどたまに『あと五分』って言ってみたくなる。

言わないけど。

だって、本当に五分寝かせてくれちゃうんだもん。

物凄く物足りないような微妙な気持ちになるんだよ。


それから、今度は制服に着替える。

五才の誕生日の翌朝、着替えを手伝って貰うのが気恥ずかしくて、自分でやるって言ったらとっても驚かれた。

このくらいの年ならそう言い始めても不思議じゃないのに。

つまり、わたしはもともと自分で着替えようとするとは思われる余地もないほどの我が儘娘だったのね。

あまり器用に動かない指でなんとか着替え終えたときには達成感が素晴らしかった。

メイドさんもまさかわたしが自分で着替えられるとは思ってなかったんだろうね。

拍手を貰ってしまった。

何気に嬉しかったけど。

それ以来パーティーで飾りまくる時以外では自分で着替えてる。

母や父にも褒められたけど、あの人たちはわたしがすることなら何でも褒めると思う。

で、着替えが終わったら適当に顔を洗って適当に拭いて、

「朱里お嬢様! そんな乱暴に!?」

そんな叫びは毎朝のことだから気にしない。

朝って一分一秒が惜しいもののはずだから。

実際には余裕たっぷりでも、朝ってだけで急がなきゃって思っちゃう。


次は朝ごはん。

母と父も一緒に食べる。

母と父は朝からしっかり食べる。

けどわたしはそこまで食べようと思えない、朝はね。

母と父は沢山のお皿に盛られた料理たちを胃に収めて、わたしはヨーグルト(のようなもの)とフルーツ、それに紅茶。

「学園は楽しいかい、朱里?」

「はい、お父様。とっても!」

「まあまあ、それは嬉しいわ。けどいつでも海先に戻っていいのよ?」

「あらお母様、今のままで十分楽しいのですわよ?」

「それならいいけれど。不自由が多いんじゃないかってママ、心配で心配で」

「心配には及びませんわ、わたしお友達にも恵まれてますもの」

これも毎朝のこと。

父も母も過保護というか、少しでも甘やかそうとしてくるから子供の教育によくないことこの上ない。

そうそう、わたしの口調のことは気にしないで。

母と父と、あとはパーティーで話す時くらいだけだから。

普段は使っても敬語くらい。

~ですわ。なんて、絶対に使わないから。


ご飯も食べ終わったら前の世界との違いを一番強く実感できる、魔法の練習。

広い広い庭の、植木の並ぶ木陰でする。

日の当たるところでやって倒れたら大変! と母が言ったから。

過保護だよ。