わたしは、普通の学園生活が欲しい

秘密がバレてない理由はこのくらいで。

今度は別のことが気になってきたでしょ?

なんでこの世界にないはずのコンタクトを知ってるの? とか

なんで黒髪黒目が懐かしいの? とか

ズルって何? とか

そもそも、なんでそんなこと秘密にしてるの? とか


それも教えてあげるよ。


わたし、海先 朱里なんだけど、鈴木 翠なんだ。

何言ってんの? って感じだよね。

ズバッと言っちゃうと、前世(だと思う)の記憶があるんだよね。

五歳になったとき、お誕生日会があったんだ。

その日の夜、突然目が覚めてボーッとしてたの。

そしたら急にどっかからフツフツ浮かび上がってきたんだよ。

鈴木 翠って日本人の人の記憶が。

彼女、っていうか前のわたしなんだけど、高3になる前の春休みに死んじゃったんだよ。

事故だったんだけど。

その瞬間の記憶が浮かび上がってきたとき、わたしショックで気絶しちゃった。

翌朝メイドさんに起こされたときには中身は五才児じゃなくて高2のわたし、ってわけ。

わたしその時に思ったんだよ。

『なんて我が儘娘なの、この五才児は』

って。

わたしの両親はね、いわゆる駄目な親ってやつなんだよ。

娘を甘やかしてばっかで、我が儘娘になっても叱りすらしない。

多分怒られたことないよ、わたし。

そのままいってたらこの子どうなってたか。

勿論すぐに我が儘娘ではなくなったよ、この子。

だって中身は庶民の高2娘だもの。

でもね、学園に入学って時に思ったんだよ。

『目立たずに学園生活を送ろう』

って。

公爵令嬢といえども中身は庶民。

媚びへつらわれるのに疲れてきてたのね。

学園でだけは普通の女の子がしたかった。


もう疑問は解消されたかな?

あ、でもこれは分からなかったかな?

なんでズルなの?

ってやつ。

わたし日本で高2まで教育受けてた訳じゃない?

こっちの世界ではそれまでの教育だけで勉強なんて学園の高等部を卒業できちゃうの。

魔法もね、どんな現象にどんな現象の魔法が効果的かなんて、ちょっと理科を交えて考えれば工夫できちゃう。

でもそれがこっちでは革新的な発想。らしい。

凄い凄いって言われる。

でもわたしが自分でやったのは魔力を制御する訓練と魔法を制御する訓練だけ。

周りにとっては凄くても、わたしにとってはそうじゃない。

だからズルしてるってわけ。