いつのまにか遠くまで来てしまったようだ。

「疲れたよ....悲しい..な...」

初めて吐く弱音だった。

頬を伝っていく生暖かい涙が、雫となって手のひらに落ちていった。

自分の家や家族を、街を、無くした。

そばにあった、暖かい手の温もりさえも。

泣きながら、一人彩花は歩いて行く。



彩花、14歳の夏。