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あれからミユを慰めたり何やらで結局、練習は一つも出来なかったものの、本番では意外とうまく唄え、無事成功した。

「まもなく吹奏楽部の演奏が始まります。手洗いに行きたい生徒のみ、動いてください」
生徒会長の放送で席を立つみんな。

吹奏楽部の演奏か〜。
眠くなりそうだな、なんて考えていると外に出て行くミユを見つけ追うように外に出た。

結局出た瞬間ミユを見失い、そこら辺をブラブラすることにした。

「気持ちい〜」
顔に当たる風が気持ち良く、思わず呟いていると。


「七瀬ー?くそ、あいつどこ行った?」
なんて声が聞こえた。

え?私?
でもあんな人知らない。

でも…

「あ、の!七瀬ですけど」
無意識に体が動いていた。

気がつけば目の前には先程私の名前を呼ぶ見知らぬ男の人。
よく見ればこの人イケメン。

青みがかかった黒い髪に深い海の色をした瞳。綺麗だけど何か、寂しそう。

「え?」
「え?」
「あれ、君も、七瀬?」
驚いたように目を丸くさせ、首を傾げる彼を見て、自分に用はないってすぐにわかった。
きっと違う七瀬を探してたんだ。