「関口さん、HOT HEARTによくしてくれてんだよ。
あんなキャラだけどな、この業界では有名な人なんだ。実力の方でな」
テレビ局を出た後、自ら運転すると言った神田さんが車を走らせながら言った。
「凄い人なんですね」
「うん。お前の資料、今頃しっかり見てると思うよ」
神田さんの言葉は確信を持っているように思えた。
テレビ局で働く偉い人とか、ドラマのプロデューサーはタチの悪いイメージがあったけど、
関口さんは僕の中のイメージとは違うように思えた。
「お前、今度関口さんとの飯付き合え」
「僕がですか?」
「お気に入り決定だよ」
企むような笑顔を向けてきた神田さんに寒気がした。


