「ここですか?」
「そう。空いてるとこ停めて」
しばらく車を走らせると大きなテレビ局に着いた。
ほとんど停められている駐車場の空きに車を入れようとするけど、
久しぶりの駐車に戸惑って何回も何回もやり直す。
すると、神田さんが痺れを切らしたように“代われ”と言ってきた。
「すいません…」
僕が外に出ると、神田さんは素早く助手席を降りて運転席に乗り込む。
駐車は一発で綺麗に入った。
「はい、資料持て。それで、駐車練習しとけよ?
出来なきゃかっこわりぃぞ~」
資料を渡してスタスタ慣れたように歩いて行く神田さんを追う。
かっこ悪いか。
神田さんはそういう次元で生きてるんだな。
真面目そうに見えて意外におちゃらけてるのかも。


