「お待たせ」 声をかけると、美紗と目が合う。 「遅いー、待ちくたびれたわ」 「はいはい、すいません。なんでここ知ってんの?」 「社長が教えてくれてん」 「そ。でも、こんなとこ居たらバレるよ」 「大丈夫やわ。誰も見ぃひん」 「おまえなぁ…」 美紗は少し無防備すぎる。 今は誰でも知ってるバンドのボーカリストなのに、変装すらしない。 「ここのアパート綺麗やなぁ」 「うん。父さんの昔の知り合いが紹介してくれてさ」 「間取りは?」 「1LDK。美紗の家は広いんだろうな」