「ありがとうございます」
「いいえ」
女性は小さく会釈をしてレジへ向かっていった。
いい人だなぁ。
しかも、かなりスタイルがいい。
淡色のニットから伸びるスキニーパンツを履いた脚は長くて細かった。
女性が店を出るのを確認して、僕はレジで支払いを済ませた。
コンビニを出ると、僕は事務所への道を戻った。
僕の歩く少し前にはずっとあの女性がいる。
ミラクル芸能事務所は、路地の中にある。
回りは新築のアパートや小さな店ぐらいでそれ程華やかではない。
あの女性がここらへんで用事があるのだろうか?
そんな風に思いながら歩いていると事務所が見えてきた。
僕は少しだけ走った。
有村さんとの打ち合わせはまだ残っている。
昼ごはんを済ませながら続きをしようと言われたからだ。


