ある日有村さんとHOT HEARTの新曲の売り込みの打ち合わせをしていた中で、
休憩をもらえて昼ご飯をコンビニに買いに来た。
僕は真っ先にサンドイッチのコーナーに向かって三つ入っているサンドイッチを選んだ。
昔から食は細い方だから、女の子が食べるくらいでも十分腹いっぱいになる。
飲み物のコーナーに行き、ガラスの戸棚を開けようとしたとき、
僕の手に華奢な手が当たった。
その手を辿ると、サングラスに深いハットを被る女性。
この人も飲み物を取ろうとしたんだろう。
「すみません。どうぞ」
先に取るように促すと“ありがとう”と女性は微笑んでパックの紅茶を手に取った。
「どれにするんですか?」
「え?えっと、麦茶を…」
「どうぞ」
その女性は僕の分のペットボトルの麦茶を取って渡してくれた。


