「うちのは?」 「ミルク二杯、砂糖二杯です」 「…合格」 美紗がそう言ったとき、彩芽さんは少し不思議そうな顔をしていた。 合格、っていうのはきっと覚えていることに対してだろう。 「じゃあ失礼します」 「はーい」 美紗と彩芽さんはコーヒーを何口か飲むとすぐ練習を再開していた。 …二人とも、努力家だなぁ。 そんな風に思いながらも、ドアの小さなガラス部分を覗く僕の目には美紗しか映らなかった。