「あなたは…とても冷静だわ、物事をしっかり見てる。
それなら分かるでしょう?
MISAのこと、ただタレントとして見て。
あなたにはそれが出来るはず。
あと、ココアありがとう」
「いえ、覚えておきます」
「うん。もういいよ。二人にコーヒー持って行ってあげて?」
「はい、失礼します」
社長室を出てから、戻る廊下で少し反省した。
僕の美紗に会いたいという願いは、もっと違う形でも叶えることが出来たのかもしれない。
それを軽い気持ちでこの事務所に就職したことは正解だったのだろうか。
考えても答えは出ないなら、仕事をただ頑張るしかない。
そう思って僕は顔を両手で叩いた。


