あたたかい場所


─彩芽たちに、謝っといて。
 明日からのツアーの打ち合わせはちゃんとやるから


わかった、とだけ返す。

美紗が悪いわけじゃないのに。

だけど美紗のこの気持ちは、きちんと伝えなきゃいけないと思った。


きっと責任を感じてるんだろうし、自分一人で背負いこもうとしてる。

でもそれは他の三人も同じなんだろうな。


卵をぶつけられたのは美紗でも、同じ仲間が、そんな目に合ったことが辛いはず。

メンバーは誰も言葉を発しない。どんよりと暗い空気。



「ついたぞ」

ライブハウスから一番近い美紗の家に着く。


「美紗、おつかれさま」

一緒にバスで帰っていたユリアさんが声をかけると、美紗は何も言わず優しく笑ってバスを降りた。



僕は車が再発進しだしてから、通路を空けて隣の彩芽さんに声をかけた。