あたたかい場所


美紗は、今日のことを多分一生忘れない。

多分、笑って話す日も来ない。


ならこれをバネにして、明日からまた頑張れるのか。

僕がひとりで色々と考えていた、泣いている美紗を見ながら。


何分こうしていただろう。

スッと静かに立ち上がった美紗は“聡、帰ろ”と掠れた声で言った。


酔っているわけでもないのに、おぼつかない足取りの美紗。



楽屋に入ってきた美紗に誰かが声をかけるわけでもなく、

美紗は自分の鞄とギターをひとつ背負って、楽屋を一番に出て行った。



マイクロバスの一番後ろに一人で座った美紗。

神田さんの運転で帰りだした時。

僕が携帯をチェックしていると、美紗からLINEのメッセージが入る。



直接僕に話しかけるのも、今は辛いのか…?

美紗とのトークを開く。