「おはようございます。本日はよろしくお願いいたします」

マイクロバスから降りて呼びに来てくれた撮影スタッフに挨拶し、名刺交換をする。



“牧原”という40代前半ぐらいの女性がカメラマン。

メンバーも挨拶を終え、マイクロバスに乗り込んだ。

一番後ろの広い席には、牧原さんとMISAが座った。


牧原さんはMISAの気分を上げるためにと、今回の撮影の説明や雰囲気などを直接伝えたいらしい。


後ろからは明るい牧原さんの声と、それに引っ張られているようなMISAの明るい声が聞こえてきて、少し安心する。

今回は様々な表情が必要な撮影だし、こんな風にMISAの気持ちをあげなきゃいけない。


僕がクヨクヨしていても、仕方ないんだよな…

僕はマネージャーなんだ。タレントのサポートをするのがひとつの仕事なんだ。


切り換えよう。これは仕事だ。私情を挟むわけにいかない。


僕は何度も深呼吸をして自分に言い聞かせた。