あたたかい場所



「あぁ。長岡との熱愛からさほど時間も経ってない…



美紗は終わる。人格まで疑われるんだろうな」

翔さんは力なくフッと笑った。

「…脅されたのね?」

「あぁ…二択だった。

過去を公にすることを選べば、美紗一人で抱え込む必要はなくなると思った。

証拠も受け取ったし、話したことを後悔してない」


週刊誌が発売されるまで、掲載することを社長が知らなかったのは、

翔さんが自分から伝えると伏見に言ったかららしい。


だけど中々社長に言うタイミングが見つからず、今日に至ったと。



口に手を当てて、かける言葉も見つからない様子の社長は、

記者会見を行うための準備をすると言って休憩室を出て行った。




僕はあの日のようにがっくりと項垂れている翔さんに、声をかけてあげることも出来ずただ隣にいることしか出来なかった。