あたたかい場所


裏口の方から事務所に入ってきたのは、翔さん。

フロアに出てくるなり、僕のデスクに近づいてきた。


「青山くん、ちょっといいかな」

「はい」
誰も居ない三階の休憩室に入った。

正直、まだまだやらないといけない仕事もあるし、マスコミの対応だってしなければならないけど、


僕は翔さんの話を聞かなきゃいけない、そう強く思っていた。


ソファーに深く座り込んで、翔さんは口を開いた。

「記事、読んだ?」


「…見出しだけです、他は読めなかった」


「そっか…全部俺が話したことなんだ。…青山くんに会った日に」


「…はい」

「言わなくてごめん。マネージャーとタレントの間に隠し事って良くないし…



俺から言おうかと迷ったんだけど」


翔さんは少しだけ間を置いて言った。