「とりあえず、美紗は座れ」

翔さんがど真ん中の一人用のソファーを指さした。

なのに美紗は、一番端のソファーに腰を掛けた。


「お前、そこ座ってどうすんだよ。

主役はこっちだっての」


おかしそうに笑いながら言った神田さんに従い美紗は真ん中のソファーに移った。

相当驚いたのかいつもと様子が違うのがなんだか面白い。



いつもならドカッと真ん中を占領するのにな。

「美紗、カクテルがいい?ワインがいい?」


「ビール」

誕生日であろうが、シャンパンなどの飲み物は美紗の頭の中にはないらしい。



美紗の言葉を聞いたバーテンダーは、苦笑いをしながらビールグラスを手に取っていた。