「え、なんか暗ない?」
皆が隠れる為に店内の照明を落とした。
仕事を終えてやってきた美紗は彩芽さんと一緒に近づいて来る。
「おい、お前ら。いいか?俺の合図でクラッカーだからな、いいな?」
「神田さんうるせーよ」
「おい、晴輝」
「もういいから。晴輝も神田さんもうるさい。本当子供みたいだな」
翔さんの言葉で黙った二人に、千晴さんと目を合わせて笑った。
準備はほとんど手伝わなかったくせに、良い所だけ持っていく神田さんの掛け声で、店内の照明が点く。
「美紗、誕生日おめでとう!」
「え?」
キョトン、とした顔で何度も目をぱちぱちさせる美紗。
店内をぐるっと見回して、やっと状況が理解できたらしい。
「ちょっと、いつまでびっくりしてるの?」
口を開いたまま放心状態の美紗に、彩芽さんは我慢できなくなったのか笑い出した。
「ホンマ、ビビるねんけど…すっかり忘れとったし…」


