「ちょっとだけ…」 「ダメ。あげないから」 「なんやねん。ケチ」 僕のジョッキに伸びてきた手を払ったら、文句を言われた。 全く、どこまで酒好きなんだか。 「これサービスね」 いきなり個室の襖がガラッと開く。 テーブルにコトン、と皿を置いたのは、この店の店主であろう笑顔の優しい男性。 サービスにしては量が多いことに驚きつつ、変装をしていない美紗に少し冷や冷やしていた。 “大丈夫やで”心配していた僕に言ってきた美紗。