あたたかい場所


「あっれ~?」

弱いだろうに、ずっとビールを手放さない彩芽さんが声を上げた。

「どうしたんですか?」



「これ、美紗のだよねぇ~」
彩芽さんが見せてきたのは、指輪。

どうやら、チェアの骨組みに引っ掛かってたらしい。


じっくり指輪を見てみると、どこかで見たことがあるような気がした。


「美紗ぁー!!」

美紗は酔っている彩芽さんにあからさまに嫌そうな顔をしながら、近づいてきた。



「なんや、酔っ払い」

「これ挟まってたの~、ありがとーはー?」


「はいはい、ありがとうございますー」

美紗は指輪を受け取るとすぐに指にはめて、さっきまでいた場所に戻って行った。