「あなたたち、本当に仲が良いのね」
口に手を当てて目を細めながら笑う社長に、
そんなことないです、と言うと“そんなことあらへん!”と言った美紗とハモる。
「真似するなよ」
「そっちが真似したんやろ!」
「いや、美紗が」
「ちゃう。聡や」
僕は美紗といると、なんだか子供に戻ったような気分になる。
会話も、言い合いも、からかいも、昔から何も変わってないような。
それは、良いような悪いようなよく分からないんだけど。
「仲良いね~さすが幼馴染みだ~!」
そう言って僕の隣のチェアに腰を掛けたのは、両手にビールを持つ彩芽さん。
「彩芽、酔うてるやろ」
「酔って、ないよ~?」
彩芽さんはいつも笑顔のイメージがあるけど、今はいつもよりニコニコしている。
頬はほんのり…いや、真っ赤に染まっている。夜でも分かる。
もう出来上がっているな。


