「だって私、そのフェスのあと東京行くもん」
「は?何、旅行?」
「プチ旅行かな」
「母さんも父さんも?」
「私一人だよ」
当たり前でしょ、と後に付け加えて由香は言った。
「一人って、何しに来るんだよ」
「観光!美紗ちゃんにも会いたいし。
もちろんお兄ちゃんの部屋に泊まるからね!
私が泊まる間は女の人連れ込まないでよ?
でね、フェスのあとお兄ちゃんと一緒に東京に行きたいなって思ってて。
だから迎えに来てよ。
夏休み中だし、ね?いいでしょ?」
ペラペラと、台本を読んでいるみたいに計画を話してきた。
相変わらずお喋りだし、余計な事を言うところは美紗から移りつつある。


