「青山くん、知らないの?」
急に彩芽さんがそう言ってきたので、何のことが分からずにいた。
「何がですか?」
「神田さんと千晴ちゃん、付き合ってるんだよ」
「え!?」
「分かんないよねぇ~、二人とも仲のいい上司と部下って感じだし」
彩芽さんは僕の驚きに共感するように首を縦に振った。
あの二人が付き合ってる。
確かに、さっき恋人みたいだとか思ったけど、まさか本当にそうだとは…。
そういや…と、神田さんと関口さんの会話を思い出した。
“あのこと、彼女にバラすわよ”
彼女って言うのは、有村さんのことだったんだ。
僕はしばらく、向こうで話す二人から目を離すことが出来なかった。


