放課後、指定された教室に入ると、すでに半分くらいの席が埋まっていた。

ざっと見回してみるけど、知った顔はないみたい。




大和、まだ来てないんだ。

少しの心細さを感じながら、私は空いていた窓際の席に座った。





ちなみに、今日の補習は英語。

私、他の教科は悪くないって言うか、むしろ成績は良い方なんだけど、英語だけは壊滅的なんだよね。


読むのも、書くのも、聞くのも、
もう全部むり!



だから、本当に憂鬱。
こんな補習受けたって、今更なんだよ。





ふと時計を見ると、補習開始の時間が迫っていた。




(大和、遅いなぁ・・・)




ちゃんと補習には出なさいよって言ったのに。
大丈夫かなぁ…




と、ちょうどその時、ガラッと音を立ててドアが開いた。







「間に合ったーーー!」






静かな教室に騒がしく入ってきたのはもちろん大和で、
私を見つけると当然のように隣の席にドカッと座った。




「なぁ、さっき翼と話してたんだけどさ、今度みんなでプール行かね?」




プール?



「まだ寒いのにプール?
あんた達、水着が見たいだけでしょ、変態。」


「いや、温水プールだから寒いの関係ないって。
それにおまえの水着に興味も期待も無い!」


「失礼なっ!!
私だって意外とスタイルはいいんだからね!?」


「自分で“意外と”っていうあたり(笑)」





むかーーー!!

すっごい失礼!




「だいたい、なんでいきなりプールなのよ?」



大和と翼、それから私。
あとは私の女子の友達、瞳となつめ。

いつものメンバーでいくところっていえば、放課後にカラオケとかマックとかくらいで、そんな、休日に集まるような事したことなかったから、なんだか違和感だった。




でも、そんな私の質問に大和は、




「んーーーーー、いいじゃん、ほら、
とにかく、たまには泳いだりしたいなって、思っただけだよ」



「ふーーーん・・・・」



変。



違和感しかない大和に説明に釈然としないけど、そこでちょうど先生が入って来て補習が始まってしまったので、そこで追及するのは終わりになってしまった。




でも、あいつあれで私が納得したと思ってんのかな?


何か隠してるんだろうけど・・・





隣の大和の横顔を盗み見ると、私の視線に気付き、
ベーーッっと舌を出して頬杖で顔を隠してしまった。



はぁ・・・。





またなんか変な事、企んでなきゃいいけど。