坂本美緒 15歳

私は今、めちゃめちゃ困っている。




「30点以下のやつは補習だからな」



教卓で英語の教師がそう告げた。




・・・で。


私の手元にある答案には「29」の数字。





まずい。
まずいまずいまずい。


補習なんて嫌すぎる。
毎日ダッシュで帰って夕方のドラマの再放送見てるのに。



高校へ入学して最初のテストで、
なんでこんな点を取ってしまったんだろう。





「うわっ、おまえバカー!!」



突然背後から聞こえた声に振り返ると、
ニヤリと笑って私を見下ろす悪友がいた。




「やっ、やまと!勝手に見ないでよ!
それに、あんたの方がひどい点じゃない!」




隠そうともしない、そいつの答案には私のそれよりも低い数字。



「はっ、やっぱりバカだな。
よく見ろ。俺のは13点だ」


「だから何よ、私より悪いじゃない。」



大和はどーんと13点のテストを私の目の前に突き出す。
そんな事しなくたって、しっかり見えてるんですけど。

怪訝な顔でにらむ私に、
だけど大和はニヤリと笑う。




「そうじゃねえよ。
13点で補習は当たり前だけど、あと1点取れば免れたのに、そのわずか1点が取れなかったんだから、オマエの方がバカって事!」



ぎゃはは、と笑って廊下へと逃げ出して行ったあいつは、



一応、友達。