時の姫と月

女性は椅子から立ち上がり、僕から遠ざかった。

「あっあなたっ、誰ですかっ!?」

声が裏がえっている。

「こんばんは。僕は“交換屋”です」

「こっ交換屋ぁ?」

こんどは間抜けな声を出す。そーいえば、毎回叫ばれるけど僕の姿ってどっかおかしいのかな?一応人の形をしてると思うけど。
僕が自分の姿を見ていたら、女性もこちらをじぃーっと見てきた。 

「僕の姿、おかしいかな?」

「はっ!?い、いえ…別に」

…とか言いながら、女性は僕の顔をチラチラ見る。姿じゃなくて顔がおかしいの!?それか…いきなり現れた僕に驚いてるだけとか?

「そっそれより、どうやってこの家に入って来たんですか!?不法侵入です。ドアのガキは閉まってたはずです!」

どうやら後者のようだ。良かった。

「どこって…ドアから。」

この女性はそんな常識も知らないのかな。

「だから!どうやってドアから入ってこれたんですか!?」

…本当にこの女性は大丈夫か?

「もちろん、ドアノブを回して」

なんか大きなため息をつかれた。むかつくなぁ…。ごほんごほん。

「それで?君の願いは?」

「えっ…私の、願い?」