三日月が苦々しく呟く。

『そうね。でもあなたが必要なのではないわ。“願いを叶える者”が必要なのよ』

「なら、君が願いを叶えるかい?」

『それは…っ!』

三日月は黙った。辺りは元の静けさを取り戻す。
『これ』が毎日話しかけてくるから、僕の大切な時間が台無しだよ。

「じゃ僕はもう行くね。」

“力”を使って真っ黒な扉を出した。

『その魔法で、何処かへ行っても私はいつでもあなたを監視しているから』

…煩い。月はただ“見ているだけ”だ。

「ご勝手にどうぞ。」

そう言い、僕はドアノブを回した。


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