彼女――鹿羽夜魅の、あんなに人間らしい姿を見たのは初めてだった。 『馬鹿だなぁ……舌噛んだくらいじゃ、死ねないよ……』 『良かった……手遅れにならなくて、良かった』 『ありがとう、生きてくれてて』 後悔と安堵、感謝。 いろんな感情がごちゃ混ぜになった声音。 それは、残酷なまでにあたたかかく、そして優しかった。