「良かった……手遅れにならなくて、良かった」 静さんの身体を、彼女は抱き締める。 「ありがとう、生きてくれてて」 彼女の言葉の、静さんは息を呑んだ。何度も瞬きを繰り返し、驚きの表情を浮かべている。 次の瞬間、彼の頬を大粒の涙が流れた。 まるで、堰を切ったかのように、止めどなく。 「夜魅サン……っ」 彼女の背に縋る姿を見て、俺は再び病室を後にした。