「……ん、う……?」 「し、鹿羽さん!」 はっと瞬時に覚醒した彼女は、静さんの手を握ったまま、彼の顔をただ見つめていた。 「……死に損ったんだ、僕」 彼がそう、ぽつりと呟いた途端。 パンッ! 乾いた音が、響く。 彼女の手が、静さんの頬を打ったのだ。 「馬鹿……っ!」 「……夜魅、サン……?」 目を見開いた彼は、ゆるゆると上体を起こして、彼女に向き直る。