「あのですねぇ、」

「こんなとこで押し問答してる場合じゃないんだよ」

 珍しく真面目な顔をして、彼女は俺に手を貸してくれた。

「警察病院、行くよ」

「どうしたんですか、焦ってるみたいですけど」

「質問は後! とにかく急いで」

 彼女は言うなり俺に背を向けて駆け出した。

 どうやら緊急を要するらしい。

 俺は黙って彼女に続いた。