「もう刑事さんに何度もお話したと思うんだけど、ワタシたちにも聞かせて欲しいんだ、事件のこと。お願い出来るかな?」 彼女は静さんの傍にしゃがみ込むと、笑顔を崩さずに言った。静さんは、困ったように顔を背ける。 「つらいことだとは、わかってます。でも……お願いします」 俺には、そう言って頭を下げることしか出来なかった。経験が、足りなかったから。 しばらくの間、静さんは躊躇うように視線を右往左往させていた。 俺たちは、静さんの言葉を待った。 「……わかりました。お話、します」