「……あの、」 勇気、といえなくもないようなものを絞りだし、目の前の表情の窺えない人物に向かって声を発した。 ギィ。 嫌に軋む回転椅子を回して、その人物は振り返った。 一瞬、心臓が止まるかと思った。 そこに居たのが、俺よりも幼い少女だったから。 黒目がちな大きな瞳、その上で真っ直ぐに切り揃えられた前髪。すっきりとした鼻筋に、ぷっくりとした唇。仄かな灯りの下でも、端整な顔立ちだと分かる。