気が付いたら叫んでいた。 「犯罪を享受だなんて……それでも警官かよ! 俺は、俺は認めないッ!!」 力一杯握り締めた拳。 決して広くない部屋の壁が、びりびりと震える。 「憎いんだね。犯罪と、犯罪者が」 「犯罪を憎んで何が悪い! だから俺は、」 「刑事になりたかった、でしょう?」 ひんやりとした声音に、俺はやっと冷静になれた。 彼女は、笑っていなかった。