ごとり。 デスクに置かれた電話は、何処にでもあるようなごく普通の固定電話だった。 クリーム色のそれは、ところどころ朱に染まっている。 ――血、だ。 被害者の体内から発見された、文字通り遺留品。 昨日から目に焼き付いて離れないあの現場写真。 ――彼女の、腹の中から、これが。 喉の辺りを、競り上がってきた胃液が焼く。 彼女を横目で見やると、にんまりとした笑みを浮かべていた。