“矛盾”。

 彼女が発したその言葉が、俺の中に何かを生んだ。

 もしかすると、俺も大分彼女に感化されているのかも知れない。

 勿論、犯罪を憎む気持ちは変わらない。……けれど、何故か彼は、野間静は違う気がする。

 何が違う?

 何と違う?

 誰と違う――?

 波紋のように広がるそれを、どうにかする術を俺は知らない。

 一体、真実は何処にあるのだろう。