「じ、じゃあ……この事件、まだ終わってないじゃないですか!」

 思わず声を張り上げる。

 彼がびくりと肩を震わせた。

「解決したなんて、ワタシ言ってないけど?」

 ……呑気というか、なんというか。彼女のこういうところの理解に苦しむ。

「そもそも、キミ、感じなかった? 検案書と静さんの証言の矛盾」

「矛盾?」

「犯行時刻と遺体発見時刻の開き。右上腕部の微細な火傷。開腹されたその断面。腹腔内から発見された電話――。ちぐはぐだと思わない?」